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映画「フライト」

私は「ふと思いつき」で映画を観に行くと、けっこう良い作品に出会えることが多い。 そしてこの日も、「ふと思いつき」で映画館へ行った。 この映画のことも全く知らず、上映時間などがちょうどよかったので選んだ。

「フライト」公式サイト
http://www.flight-movie.jp/

主人公は腕の良いパイロット。荒天の中で機体が故障した事故の際にも、難しい操縦と不時着を成功させ、多くの人の命を救った。 しかし、彼はアルコールに溺れる生活を送っており、事故の際にもアルコールを摂取していた疑いが強まる。

作品全体を通して、アルコール依存症のことが、とっても丁寧に描かれている。 主人公が「自分で止められる」と発言するところや、アルコール依存症の人々の集まりで「自分は先に帰る」って席を立ってしまうところ。 本当に主人公のためを思って忠告してくれた家族や恋人たちを失っていく様子。

この映画には、主人公以外にもアルコール依存症や薬物依存症の人々が脇役として登場する。その人たちが到達している段階は様々で、「これではいけないと気付いて、治療に取り組む人」「すでに治療を卒業した人(実は再発もしている)」「売人となってしまった人」など。

途中で、薬物依存症の恋人が、主人公のためを思って離れるという場面がある。恋人のほうは、自らが薬物依存症であったことを認め、先に治療を受けて、きちんとした仕事も見つけて働き始めていた。だからこそ恋人のほうが先に「一緒にいることで、つぶしあいになってしまう」と気づいたのだろう。きちんと治療を受けるってことの意味を、感じさせられる場面だったと思う。

私は、介護をしていたとき、どうしても体がつらくて、アルコールで元気を出そうとしたことがある。この時、私は「体がつらくない日には飲まないのだから大丈夫」「介護が終わったらやめればいい」と思っていた。そして、自分ではその状態を「悪いもの」だとは考えていなかった。

このとき、注意してくれる友人がいたこと、そして私に「友人の言うことを聞いたほうがいい」という気持があったことは、本当に幸せだったと思う。友人の言葉がなければ「いつでも止められる」と言いながら、いつまでも止めない生活を続けてしまったかもしれない。

とてもよい映画だった。少し重いテーマだけれど、観に行ってよかったと思う。

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